パラダイムシフト マネジメント

知念哲郎

2013年02月25日 11:19

パラダイムシフトとは、「その時代や分野において、当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが、革命的にもしくは劇的に変化すること」を意味します。

というと、少々大袈裟な気もしますが、わずか45年弱しか生きていない僕でも、時代の持つ価値観が大きく変化しているのは感じられます。

例えば、喫煙。

ほんの20数年前くらいまでは、職場でも家の中でもところ構わず喫煙し放題でした。今の若い方に「昔は飛行機の中でも喫煙席があった」などというと驚かれます。そりゃそうですね。飛行機の中どころか、今や空港の中でも一部の隔離された禁煙室以外では吸えません。

歩きタバコももちろんNG。タクシーも禁煙、そして最近では居酒屋でさえも、喫煙者は気を使います。

また、ネットの普及、ネット環境の著しい向上により、人々の生活スタイルそのものも大きく変化しています。

昔はとにかくテレビに夢中でした。「ザ ベストテン」などの歌番組が流行り、多くのミリオンセラーの曲が次から次へと世に出され、音楽業界、テレビ業界が謳歌した時代でした。

とにかく、テレビと音楽が多くの国民にとって、娯楽の中心でした。

しかし今はどうでしょう? 視聴率を稼げなくなり、放送各局は悲鳴を上げています。予算が取れないから安易な番組しか作れず、それが更に視聴率の低迷に繋がっています。

他にも色々ありますが、要はわずか20年の間でも、このようなパラダイムシフトは起こっているということです。

一説によると「最近の若者はなってない・・・」などという年寄りのボヤキは、実は紀元前3000年(5000年前)の古代エジプトの石板からも発見されているようですが、わずか20年で常識や価値観が変化していくなら、世代間の価値観のズレが生じてもしょうがないことなのかもしれませんね。 

さて、進化論で有名なダーウィンは「種の起源」の中で、「強い者が生き残ったわけではない。賢い者が生き残ったわけでもない。変化に対応した者が生き残ったのだ」と述べている(実際は言っていないとも言われてますが)ようです。

これをビジネス的に捉えた場合、「パラダイムシフトに敏感に反応し対応しているか」という問いかけになります。

もちろん、何千年も前から変わることなく受け継がれていく普遍の価値観もあります。しかしそれとて、国によってはその歴史、文化の違いから世界共通の価値観など、見出すことは困難です。

特に、娯楽や嗜好に関する物の価値観は移ろいがちです。科学の進歩や経済状況等によって簡単にコロコロ変化していきます。

ですから、ビジネスにおいては特に、このパラダイムシフトに敏感になり、時代の変化に対応する姿勢が常に求められます。

顧客に対して然り、従業員に対して然りです。

モノ不足の時代は、供給してくれる側に対し顧客は感謝し、売る側は「売ってやる」という姿勢でも成り立ちました。
しかし今は時代が違います。顧客が求めるものは、商品そのものの価値にプラスし、より快適なサービスを普通に求めます。

年功序列、終身雇用制の時代には、従業員に対してサービス残業等を求めるのも当たり前でした。
しかし、いつ首になるかも分からない、賃金もなかなか上がらない現在のサラリーマンは、会社に対してのロイヤリティを失っています。「頑張った分だけ報われる」と思えないからこそ、残業代の未払い訴訟等が起きているのです。

「昔はよかった」などと嘆いてみても、現状は何も変わりません。20年前の成功体験など、何の役にも立ちません。

「時代がどう変化していったのか」「この先更にどう変化していくだろうか」ということを考え、先手を打つこと、それがパラダイムシフト マネジメントです。

関連記事